2008/01/22

景気回復のためにも早期解決を

 耐震偽装に端を発した改訂建築基準法に対応する構造計算ソフトの大臣認定が遅れている.住宅着工の低迷に直結する問題だし、景気回復のためにも早期解決してほしいものである.(今日の東京市場も大幅安となりましたし.)


Photograph by Noah



 
 改正建築基準法に基づく新たな構造計算ソフトの大臣認定が進んでいない。国土交通省は平成19年中の認定を目指していたが実現せず、認定ソフトはいまだ存在しないまま。住宅着工の遅れを招きかねず、同省は先行しているNTTデータの開発品を21日に「仮認定」し、国指導のもと認定取得を進める異例の措置を打ち出した。しかし、特定企業の開発に国が関与する手法には「公平性を欠く」との声もあがっている。(省略)

 住宅着工の遅れは景気悪化に結びつきかねず、同省は急遽(きゅうきょ)、NTTデータが認定に向けて開発を進めているソフトを21日に「仮認定」する方針を固めた。国費を投入してゼネコンや設計事務所、建築確認検査機関などの協力を仰いだコンソーシアムを組織し、約1カ月かけてプログラムの問題点を洗い出す「バグ出し」作業を行うという。(以下、省略)
 

産経新聞 1月21日(月)



 恥ずかしながら、建築の構造計算ソフトに大臣認定が必要だとは知りませんでした.(鋼橋の断面計算プログラムには大臣認定はありませんね.)改ざん防止機能も追加するということで、それなりに時間がかかるのでしょう.それにしてもコンソーシアムを組織しバグ出し作業を実施するようだけど、最終的に責任を取るのはどこになるんだろうか.記事全文を読むとまだまだ最終確認までは時間がかかりそうである.(正直バグ出し作業を命じられたら毎日コンピューターとにらめっことなるだろうから嫌だなぁ~.)

参考サイト:大臣認定構造計算プログラムの試行利用の開始について・国土交通省

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

Noahさん こんばんは

昨年6月20日に建築基準法が改正された影響で、建築確認申請の審査に混乱が生じて住宅を始めとする建築工事の着工件数が激減して社会問題化しているのは周知の通りですね。そこで、国交省は確認審査機関(構造計算適合性判定機関も含む)に対して、迅速な審査と柔軟な対応を行うように指示しました。

国交省の思惑は以下の様な感じではないかと思います。
① 国交省は大臣認定プログラムの第1号を認定することで、確認申請の迅速化が図られると言いたい。(実際には1社の認定だけでは迅速化は図られないと思いますが。)
② プログラムの大幅な変更であるために、それなりのバグが想定される。しかし、プログラム開発メーカーだけに任せておいては、認定第1号までに時間が掛かりすぎて国交省が非難される可能性がある。
③ また、認定後にバグが多発した場合には国交省の面目が丸潰れになる。こうしたリスクを回避するためにもコンソーシアムが必要。

それから、プログラムのバグに対する責任の所在は、今までの認定プログラムの場合ではプログラム開発メーカーや認定した国交省に責任は無く、利用者(つまり設計者)にありました。
設計に携わっているものとしては、正直納得できないのですが今回もそういうことになると思います。

いずれにしても、こんな状況では建築業界が国民から信頼を回復できるのは何時になるのだろうかと大変危惧しています。(長くなって申し訳ありませんでした。)

noah さんのコメント...

 こうへいのちちさん、こんばんは.

 丁寧な解説ありがとうございます.

 そうなるとしばらくはNTTデータの「一人勝ち」ということですね.先行投資した見返りと考えれば、個人的には納得できます.
 
 マーケティング力の勝利という感じですね.

 あとは、いかにこの「垂直立上げ」に技術陣が対応できるかにかかっていますね.NTTデータ以外のコンソーシアム構成組織の本気度も見ものです.